医療法人の登記手続きについて

医療法人の登記手続きについて

2021年6月16日

1.医療法人の運営に必要な手続き

(1)医療法人における各種届出をサポート

医療法人の運営においては、行政庁(保健所や法務局)への届出を必要とする事務がたくさんあります。

  • 定款を変更したい。
  • 理事長が亡くなったので、新たに理事長を選任したい。
  • 理事や監事を変更・追加したい。
  • 決算年度が終了し、保健所への「決算届」や法務局への「資産総額の変更登記」を申請したい。

そうした場面において、司法書士法人貝原事務所の活用を是非ご検討ください。

当事務所は、沼津市の司法書士事務所です。
司法書士は法務局への登記申請を専門としていますが、当事務所には行政書士登録をしている司法書士が在籍しているため、登記手続きのみならず管轄保健所等への届出にも対応が可能です。

この記事では、医療法人と登記の関係について焦点をあてて解説しています。
医療法人一般については、つぎの参照記事をご覧ください。
【参照記事:医療法人について】

(2)医療法人と登記

医療法人は、登記をすることで成立します。
医療法人の登記事項はつぎのとおりです。登記事項に変更があった場合には、変更登記申請が必要となります。

  • 名称
  • 事務所の所在場所
  • 目的及び業務
  • 役員に関する事項(理事長の住所氏名)
  • 資産の総額
  • 存続期間又は解散の事由

2.資産総額の変更

(1)決算期ごとに登記が必要

医療法人の登記のおいて、年に1回登記申請をするのが「資産総額の変更登記」です。
これは、各事業年度終了時の資産総額を登記するものです。

この「資産総額の変更登記」があるので、医療法人では1年に最低1回は登記手続きをすることになるのです。
まれに「これまで資産総額の変更登記をしていなかった」という医療法人を目にしますが、登記忘れが発覚した時点で、速やかに変更登記をするようにしましょう。

(2)登記だけでなく保健所への届出も必要

また、事業年度の終了ごとに、静岡県知事(実際には管轄する保健所)に事業報告等を提出する必要があります。
医療法人においては年に1回は、法務局と保健所に何かしらの届出を出すことになるのです。

3.理事長の変更

(1)2年に一度は登記が必要

医療法人における理事長は、理事の任期満了に合わせて、再任手続きが必要となります。
理事の任期は、現行の医療法においては「2年を超えることができない」ので、2年に1回は、この変更登記が必要となります。

理事長の変更登記に際して添付する書面について、詳細は省略しますが、特徴としては「医師(歯科医師)免許証の写し」が必要となる点です。
なお、静岡県知事の認可を受けて医師又は歯科医師でない理事が理事長となる場合には、知事の認可書を免許証の写しに代えて添付します。

(2)理事長死亡後の登記手続きは煩雑

また、任期満了のほか、辞任・死亡等の理由による理事長の交代に際しても、変更登記を行います。

とりわけ、理事長が死亡した場合には、手続きや添付書類が複雑となります。
社員や理事の構成を見直す契機ともなります。

理事長交代の際には、行政手続きと登記手続き(さらには医療事務面での手続きも)を同時に実施する必要があります。
また医療法人の継続性の観点から、速やかな交代手続きが要求される場面でもあります。
司法書士や行政書士などの専門家を活用し、段取り良く手続きを進めていきましょう。

4.解散・清算登記

医療法人を解散・清算する際にも登記は必要となります。解散については、社員総会決議による解散の場合、静岡県知事の解散認可を得なければなりません(このほか医療用設備の撤去など、医療法人特有の検討事項もあります。)。

5.行政庁への手続き(理事のみの変更、定款変更。)

医療法人の登記には関係がないものの、次のような手続きについて、問い合わせをいただく機会が多いので、あわせてご紹介します。

(1)理事の変更(理事長の変更がない場合)

理事の追加・辞任が発生した場合(ただし理事長に変更はない。)、登記には影響しませんので変更登記申請は不要です。
しかしながら、理事の変更に際しては、静岡県知事に変更届を提出する必要があります(実際には、管轄する保健所に届出をします。)。
この変更届は忘れられがちなようで、保健所から指摘を受けるケースがあります。

(2)定款変更

定款に規定している事項のうち、事務所の所在地と公告の方法以外の事項を変更しようとするときには、静岡県知事の認可が必要となります。

医療法人の定款は、厚生労働省が公表しているモデル定款をベースとして、各都道府県が基準となるものを用意しています。
法改正等により、モデル定款に変更があった場合には、定款変更を検討することになります。

この他、理事の員数なども定款記載事項となっており、医療法人の都合で定款の変更が必要となった場合には、認可手続きを進めることとなります。

6.医療法人の各種手続きについては

当事務所では、行政書士兼業の司法書士が、医療法人に関する登記はもちろんのこと、役員変更届(理事や監事のみの変更手続き)等にも対応しております。

ときおり、法律・定款の規定から外れたかたちでの運営がなされる医療法人を目にしますが、行政庁によるガバナンスは年々強化される傾向にあります。
法律・定款の規定に沿った運営を行うにあたり、専門職の関与が必要となるケースは少なくないと思います。

なお、当事務所では、基本的には「東部保健所」「御殿場保健所」「富士保健所」の管轄地域を基本的な業務範囲としております。

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