複数の株主・取締役となる会社設立を行う際に注意したいこと

複数の株主・取締役となる会社設立を行う際に注意したいこと

2021年5月15日

本記事では、非取締役会・譲渡制限会社・非種類株式の会社を設立することを前提としています。

1.複数の出資者(株主)がいるケース

(1)株主総会決議は議決権割合で決定

取締役会を設置しない会社において、株主総会は「会社法に規定する事項のほか、株式会社の組織・運営・管理その他株式会社に関する一切の事項」について決議をすることができます。

そして、株主総会においては、決定する事項に応じて「決議要件」が定められています。
「株主全員の同意が必要な場合」「株主の半数、かつ議決権の3分の2」「出席株主の議決権の過半数」などいろいろなパターンがあります。

設立時に留意すべきは、「誰がどれだけ議決権数を持っているか」が会社運営上、非常に重要であるということです。

(2)株主の議決権数について

株主の議決権は、種類株式を発行していない場合には、1株1議決権となるのが原則です(定款で定めることで、たとえば100株1議決権とすることもできます。これを単元株といいます。)。

したがって、個人として、どれほど会社経営への貢献度が高くても、議決権割合が低ければ「少数」株主となってしまうのです。

その意味で、会社の経営権の掌握は、まずは議決権を確保することに始まるのです。

(3)設立時に複数の出資者がいる場合

複数の出資者で会社を設立する場合には、その議決権割合に注意する必要があります。
「対応な立場で始めたいから、議決権割合は皆平等で。」というのは、確かに公平な考え方ではありますが、経営方針の違いや、個人的ないさかいが生じることは少なくありません。

会社運営に支障がでることもありますので、設立段階において「議決権割合=出資割合」をどうするかは慎重に決定するべきです。

さらに検討するのならば、設立段階から種類株式(たとえば無議決権株式)を発行するという方法も理論上は考えられます。

2.会社設立にともない複数の取締役を置くケース

(1)取締役の意思決定は頭数で決定

株主の場合と異なり、取締役の意思決定は、頭数(一人一票)で決定します。
どれほど会社経営に影響力があっても、取締役同士で意思決定する場合には、対等な立場となるのです。

もちろん、株主として議決権を握っており取締役の選任・解任ができるとか、事実上の上下関係があるとか、いろいろな背景事情によって対等とはならないのは皆様もご存じの通りなのですが、一応、理論上は対等ということになります。

(2)取締役の意思決定は過半数

取締役会を設置しない会社において、取締役の意思決定は「取締役の過半数をもって決定」されます。

「過半数」なので、たとえば取締役2名の場合には2名全員の同意が、取締役3名の場合には2名以上の同意が必要となってきます。

(3)設立時に複数の取締役がいる場合

まず取締役の意思決定は、頭数(一人一票)で決定するという点を把握しておかなければなりません。

そのうえで、仮に意見が割れたときには、株主として「解任」という手続きをとるとか、「任期満了」をもって退任させるのか、取締役を追加して対応するのかなど、選択しうる方法を把握しておかなければなりません。

意気投合して、一緒に事業を起こそうという段階で、こうした事態を考えるのは難しいかもしれませんが・・・。

3.株主や取締役に相続が発生した場合

株主や取締役に相続(すなわち死亡)が発生した場合はどのようになるのでしょうか。
この点も、複数の株主、複数の取締役で事業を始める場合には把握しておきたい事柄です。

(1)株主に相続が発生した場合

原則的には、株主の相続人が、株主としての地位を承継します。
複数の相続人がいる場合には、いったん相続人全員の共有となり、その後、相続人全員で遺産分割協議をおこない、最終的な株式の取得者を決定します。

相続は会社にとって意図せず発生するものなので、相続人が会社経営に興味がなかったり、あるいは従前の株主と経営方針が異なるため既存の経営陣と折り合いが悪いということも生じえます。

会社側としては、定款上で「相続人等に対する売渡請求に関する定め」をおくことにより、一定の価額で強制的に株式を買い取るという方法をとることもできます。
(ただし、買取りにあたっては、財務面の条件をクリアする必要があります。)

もちろん、会社と相続人が話合い、合意によって株式を譲渡するということも可能です。

(2)取締役に相続が発生した場合

取締役に相続が発生した場合には、取締役を退任することとなります。
相続人に取締役の資格が承継されることはありません。代表取締役についても同様です。

会社側としては、相続が発生した取締役について、死亡による取締役変更登記を法務局に申請する必要があります。

また、会社の定款において「取締役を3名以上とする。」と定められている状態において、3名いた取締役のうち1名が死亡した場合には、取締役の欠員が生じていることになります。
この場合には、速やかに、取締役を追加選任するか、定款規定を変更するかの対応が必要となります。

さらに、死亡した取締役が唯一の代表取締役であった場合には、あらためて代表取締役を選任する手続きが必要となることもあります。

4.株式会社設立に関する手続について

(1)株式会社・合同会社・一般社団法人等の設立手続き

当事務所は、沼津の司法書士貝原事務所です。
当事務所では、会社・各種法人の設立手続きを、代行しています。

設立手続きにおいては、会社設立後の運営を見据えた、定款設計を心掛けています。
一部の営業許認可については、設立手続きと一緒に、当事務所司法書士(行政書士資格保有)にて対応することも可能です。

お気軽にご連絡ください。

(2)ご依頼にあたっては原則面談を必要としています

ご依頼にあたっては、原則として、沼津市にある当事務所での面談が必要となります。

なお、沼津法務局管轄内の以下の市町については、事前にご相談いただければ出張も可能です。
沼津市・裾野市・御殿場市・三島市・伊豆市・伊豆の国市・富士市・富士宮市・熱海市
駿東郡小山町・清水町・長泉町
田方郡函南町

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