自筆証書遺言と公正証書遺言の比較

自筆証書遺言と公正証書遺言の比較

2021年2月24日

1.遺言の方式(公正証書遺言と自筆証書遺言を中心に)

遺言の方式(遺言の書き方のルール)は、民法によって厳密に定められています。

民法では、遺言について、いくつかの方式が定められていますが、一般的に利用されるのは「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」です。

この記事では、この2つの遺言を比較してみていきます。

2.司法書士としてオススメするのは公正証書遺言

司法書士として、相続登記や遺産承継業務を行う中で痛感するのは、自筆証書遺言の危うさと公正証書遺言の安心感です。

どうして、そのように感じるのかは後述のとおりですが、これから遺言の作成を検討する方には、まずは公正証書遺言の作成を検討し、支障がある場合には自筆証書遺言を選択していただければと思います。

3.公正証書遺言のメリット・デメリット

【メリット】

  • 形式不備のない遺言を残すことができる。
    遺言執行の場面においても、法務局や金融機関などでスムーズに手続きを進めることができる。
  • 交渉役場で保管されるため紛失のおそれがない。
  • 遺言執行に際して、裁判所における「検認手続き」が不要。

【デメリット】

  • 公証人の手数料が必要となる。
  • 遺言の内容が、公証人と証人2名に知られる。

※ただし、「知られる」といっても、たとえば弊所に遺言作成をご依頼いただいた場合、証人となるのは弊所所属の司法書士2名となります。公証人も司法書士も業務上知りえた事実については厳格な守秘義務が課されます。

4.自筆証書遺言のメリット・デメリット

【メリット】

  • お金をかけず手軽に作成できる。
  • 遺言の内容を、秘密にすることができる。
  • 法務局での保管制度を利用すれば、紛失や改ざんの恐れがない。

【デメリット】

  • 形式不備により、遺言としての効力が生じない(無効な遺言になる)おそれがある。
    遺言執行の場面において、とりわけ金融機関において、相続人の関与を要求されるケースがある。
  • 財産目録以外は全文自署が必要なので、複雑な遺言を残す際には大変。
  • 原則として、家庭裁判所における検認手続きが必要となる(例外:法務局で保管されている自筆証書遺言)。

5.司法書士を含む法律専門職にぜひご相談を!

方式の選択にあたっては、司法書士を含む法律専門職に是非ご相談ください。

多少費用がかかっても、公正証書遺言を作成したほうが良いケース、自筆証書遺言でも対応できそうなケースなど、具体的な事情に合わせて方式を選択することが必要です。
また、遺言の方式選択だけでなく、肝心の遺言の内容についても、遺言執行がスムーズに行えるよう精査することが重要です。

合理的な方式の選択と、遺言者の意思を正確に反映し、かつ遺産承継がスムーズに進むような内容の遺言を作成していきましょう。

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