相続による実家の名義変更

相続による実家の名義変更

2021年7月17日

1.相続による実家の名義変更

(1)不動産を所有している方が亡くなったときに

親が亡くなり、子が相続をするケース。
あるいは、父親が亡くなり、母親が相続をするケース。
もちろん、母親が亡くなり、父親が相続をするケースも。

亡くなられた方が、不動産(土地・建物)を所有していた場合には、相続人は不動産を承継することになります。

こういった場合に、「実家」の土地建物の登記名義を変更する必要があります。

(2)だれに名義変更・相続登記すれば良いのか?

名義変更をするにあたって、どういった準備が必要なのか、どれくらいの費用がかかるのかを、この記事では確認していきたいと思っています。

とはいえ、そもそも「相続した実家は、誰の名義にすべきか?」という疑問を持たれる方も多いでしょう。

この点については、いくつか記事を作成していますので、ぜひご参照ください。

【参照記事:遺産の分け方について(遺産分割協議)】
【参照記事:相続登記と不動産の売却】

2.「実家の名義変更」とは

(1)法務局への相続登記申請

「実家の名義変更」とは、相続の発生に伴い、登記されている所有権名義人を変更する手続きです。
「相続登記」とも言われます。

相続登記の受付窓口は、各地の法務局となります。

ただし、法務局なら、どこでもOKというわけではありません。
法務局には不動産(土地・建物)ごとに管轄が定められているのです。

たとえば、沼津市にある静岡地方法務局沼津支局の管轄は、相続登記との関係でいえば、沼津市・三島市・御殿場市などが該当します。
ちなみに富士市の場合には、富士支局が管轄となります。

(2)実家の相続登記申請は「実家の法務局」に提出!

というわけで「今は東京に住んでいるけれども、実家は沼津だよ。」という方の場合には、実家の名義変更をするにあたっては、沼津の法務局に相続登記の申請を出さなければいけないのです。

申請は、郵送やオンラインでも可能です。

とはいえ、申請書類の相談や申請書類の訂正が必要な場合には、やはり管轄法務局に出向く必要があります。

(3)登記されていない建物は?(市町の資産税課に届出)

また、建物の中には登記されていない建物もあります。

登記の有無は、毎年5月に市町から送付されてくる「固定資産税納税通知書」により確認することができます。
「固定資産税納税通知書」の「課税明細書」ページをご覧ください。土地や建物ごとに、その土地の地目や地積、建物の種類や床面積などが記載されているページです。

建物の場合には「家屋番号」を記載する欄があり、ここに家屋番号が記載されていれば登記されている建物となります。
家屋番号の記載がなかったり「未登記家屋」などと表示されている場合には、登記がされていない建物となります。

登記されていない建物の場合には、相続登記の申請は不要です。
そのかわりに、各市町に固定資産課税台帳上の所有者を変更するための届出が必要となります。

市町ごとに名称が少しづつ異なっているのですが、たとえば沼津市の場合には「家屋補充課税台帳登録事項変更申請」を資産税課に対して行います。

3.名義変更手続きのステップ

実家の名義変更手続きは、次のような順序で進めていきます。

  1. 相続人の確定【=戸籍集め】
  2. 名義変更をする土地・建物を確認【=名寄帳等の確認】
  3. 遺産分割協議【=相続人全員での話合い】
  4. 名義変更の申請(=相続登記等の申請)

各手続きの詳細は別記事にまとめましたので、そちらもご参照ください。

4.実家の名義変更に必要な費用

実家の名義変更(相続登記申請)にあたって必要となる費用は、つぎのようなものがあります。

(1)登記申請の際に納める登録免許税

土地・建物の所有権登記名義人を相続を原因として変更する場合には、名義変更を行う土地・建物の「固定資産税評価額」の1000分の4(0.4%)を登録免許税として法務局に納める必要があります。

固定資産税評価額は、「固定資産税納税通知書」にて確認することができますが、この際、「評価額」を参照するように注意してください。
(固定資産税算出のための「課税標準額」を参照してはいけません。)

また、特定の条件を満たすと、相続による名義変更に際して登録免許税を免除されるケースがあります(市街化調整区域の小規模農地など)。

【参照記事:相続登記の登録免許税と免税措置について】

(2)登記手続きに必要な戸籍等の収集費用

相続登記に必要な戸籍等の発行を受ける場合には、各市町に手数料を支払う必要があります。
たとえば三島市の場合には、つぎのように定められています。

  • 戸籍の全部事項・個人事項証明書 ・・・450円
  • 改製原戸籍(謄本・抄本)    ・・・750円
  • 除籍(謄本・抄本)       ・・・750円

必要となる戸籍は相続関係によって変化してきます。
必要な戸籍の通数が増えれば、上記金額に対して掛け算で費用が増えていくことになります。

また、郵送で戸籍等を請求する場合には、郵送費用のほか「郵便小為替」というもので手数料を収める必要があります。

相続関係を確認するために必要な戸籍について詳しく知りたい方は、つぎの記事をご覧ください。
【参照記事:相続人の確定のための戸籍収集について】

(3)相続登記の手続きを司法書士に依頼した場合

自分自身で名義変更(相続登記)の手続きを進める場合には、以上のような費用がかかってきます。

もし名義変更(相続登記)の手続きを専門家に依頼するのであれば、「司法書士」に手続きを依頼することになります。
そして、名義変更手続きを司法書士に委任する場合には、司法書士報酬も必要となってきます。

司法書士の報酬は、各司法書士が自由に決定できることになっていますので、依頼を検討する司法書士に見積もり依頼をするのが良いかと思います。

なお、当事務所では、下記のような報酬モデルケースを公開していますので、あわせてご参照ください。
【参照記事:相続登記の報酬モデルケース(家族内での相続)】

5.実家の名義変更手続きでお困りの時には

ざっと実家の名義変更手続きについて確認してきました。

「なんとか自分でできそうだ。」という方もいれば、「やろうと思えばできるけど、時間がとれない。」とか「これは自分には難しいかもしれない。」という方もいらっしゃるでしょう。

もし「時間が・・」とか「難しいかも・・」ということであれば司法書士の活用を是非ご検討ください。
司法書士であれば、先ほどの4つのステップについてサポートが可能です。

時間の節約や、難しい手続きのサポートを受けることで、円滑に実家の名義変更手続きを進めることができるはずです!

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