ご相談・ご依頼から業務完了まで【相続登記(数次相続)】

ご相談・ご依頼から業務完了まで【相続登記(数次相続)】

2021年5月26日

この記事では、モデルケースを利用して「相続登記(数次相続)」に関するご依頼を、初回相談から課題解決まで、どのように進めていくのか確認していただくことを目的としています。

1.モデルケース

三島市に在住のAさん。
Aさんは、先祖代々引き継いできた土地を複数筆所有しています。

ほとんどの土地は、曾祖父→祖父→父→Aさんと相続登記がなされているのですが、そのうちの1筆が曾祖父名義のままとなっていました。

Aさんも、曾祖父名義の土地についてはずっと気になっていたのですが、なかなか手を付けることができず、今回、ご自身の相続対策も含めて当事務所に問い合わせをいただきました。

Aさんとしては、自分の代で何とか相続登記を完了させたいという意向です。

2.初回相談の内容

HPから問合せをいただき、初回の打ち合わせは、Aさんのご自宅で行うこととなりました。
事前に調整がつけば、ご自宅に伺うことや土日祝日に打ち合わせを行うことも可能です。

(1)依頼内容 ~数次相続による相続登記~

曾祖父(ひいおじいさん)名義となっている土地を、Aさん名義に変更したいとのご依頼でした。

何代にもわたって相続が発生しているけれど、土地の名義変更をしておらず、先代・先々代の名義のままというのは、実はよくあるケースです。

そうした土地の多くは、実害がないため放置されているのですが、いざ土地を処分したいというときに問題となります(東日本大震災の復興工事においても、大きな障害となりました。)。

(2)当事務所からの確認事項

土地の登記名義人である曾祖父が亡くなってから60年近くがたっており、数次相続(相続発生当時の相続人が、さらに亡くなること。)が発生しているケースです。

数次相続の案件では、相続人の資格が、つぎつぎ枝分かれして引き継がれていきます。
そのため、現時点における「相続人」が多人数となることが頻繁に起こります。

多数いる相続人間での遺産分割協議が可能であるか、協議が不可能な場合に遺産分割審判・遺産分割調停まで進める意思があるかなど、お客様に確認しながら、当事務所の作業を進めていくこととなります。

  • すでに亡くなられた方も含めた親族関係の聞き取り(相続人を確認するためです。)
  • 不動産の所在や評価額
  • 他の相続人の居住地や遺産分割の方針

数次相続のケースでは、初回相談の段階では、「わからないこと」「確定していないこと」もたくさんあると思います。
おおまかな費用感や手続きの難易度を確認するために伺っているだけなので、わからない事項は「わからない」で全くかまいません。

3.課題解決までの流れ

初回相談において、大まかな費用感をご提示し、了承をいただいたうえで弊所での作業に入ります。

数次相続による相続登記の場合、実際に手続きを進めてみないと見えてこない部分もあります。
そのため、ある程度作業を進めた段階で、やっと確定した見積書をお出しできるようになります。

もちろん、当事務所の独断で作業を進めることはなく、ポイントごとに打ち合わせをしながら、手続き内容・費用感をお客様と共有するよう心がけています。

(1)当事務所での作業

  • 相続人確定のための戸籍集め
    数次相続のケースでは、戸籍集めを行い相続人を確定させた段階で、お客様と今後の遺産分割協議の進め方を確認していきます。
    相続人の数が50人となるようなケースでも、親族間のつながりが強くスムーズに話し合いが進む事案がある一方で、相続人の数が20人程度でも親族関係が希薄で遺産分割協議の実施自体が難しいケースもあります。
  • 相続登記の対象となる不動産の調査(固定資産評価証明書や名寄帳の取得)
  • 遺産分割協議実施のサポート
    遺産分割協議の実施は、お客様(A さん)自身で行っていただく必要があります。
    当事務所では遺産分割協議を、お客様の代理人として進める資格はありません。
    代理人による遺産分割協議を希望する場合には弁護士に依頼する必要があります。
  • 遺産分割協議書案の作成
  • 相続登記の申請と完了書類の返却

(2)お客様に対応していただく作業

  • 相続人間で話し合いをおこない遺産の分割方法を決定する(遺産分割協議の実施)
  • 当事務所が作成する遺産分割協議書への署名押印
  • 他の相続人の印鑑証明書の収集

数次相続のケースでは、遺産分割協議の話し合い自体が困難なケースが多くあります。
そうした場合には、遺産分割調停や遺産分割審判といった、裁判手続きを利用せざるを得ないこととなります。

遺産分割調停や遺産分割審判まで進めるのか、進めるとして弁護士に依頼するのかしないのかなど、様々な判断をする必要があります。

4.対応期間

数次相続のケースにおいて、標準的な対応期間をお示しすることは困難です。

相続人の人数や、遺産分割協議が可能であるか否かによって、大きく変わってくるからです。
当事務所の取扱事例においては、順調にいったケースでも6カ月~1年くらい(相続人20人程度。)、遺産分割調停までいったケースだと2年~3年くらい(相続人30人程度)かかることも稀ではありません。