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この記事では、モデルケースを利用して「相続登記(兄弟相続)」に関するご依頼を、初回相談から課題解決まで、どのように進めていくのか確認していただくことを目的としています。
1.モデルケース ~兄弟姉妹間での相続~
富士市に在住のAさんからのご依頼です。
Aさんの兄Bさんが亡くなり、Bさん名義の土地建物について名義変更(相続登記)をおこなうことになりました。Bさんには、妻も子もおらず、相続人となるのはAさんを含めた兄弟姉妹です。
兄弟姉妹は4名おり、Aさん(富士市在住)、Cさん(御殿場市在住)、Dさん(三島市在住)
、Eさん(沼津市在住)です。
相続人間で話し合いをした際には、基本的には均等で分けようとの方向性がでていました。
2.初回相談の内容
HPをみて問合せをいただき、初回の打ち合わせは、当事務所にて行うこととなりました。なお、事前に調整がつけば、ご自宅に伺うことや土日祝日に打ち合わせを行うことも可能です。
(1)依頼内容 ~兄弟姉妹間での相続登記~
Bさんの遺産としては、富士市内の土地建物のほか、預金口座が1つあるのみでした。預金口座については、Bさんが主体となって手続きを済ませていたため、今回は相続登記のみの依頼となりました。
(2)当事務所からの確認事項
つぎのような事項を初回相談では確認させていただきます。
- すでに亡くなられたかたも含めた親族関係の聞き取り(相続人を確認するためです。)
- 相続関係確定のための戸籍の収集について
今回のケースでは銀行での預金承継のため、戸籍については収集済みとなっていました。兄弟姉妹が相続人となるケースでは、ときとして戸籍収集が非常な負担となることがあります(相続人同士のつながりが少ない場合や、代襲相続が発生している場合など。)。 - 不動産の所在や筆数
- 他の相続人の居住地や遺産分割の方針
- 不動産以外の遺産(預貯金等)の遺産承継手続きについて
兄弟姉妹が相続人となるケースでは、とりわけ「他の相続人との関係性」や「相続人間での遺産分割の方針の有無」が気になる点です。相続人同士でのつながりが多いケースであれば、その後の手続きもスムーズに進むのですが、親族関係が希薄であったり代襲相続が絡むケースの場合には、遺産分割協議へのアプローチも慎重に行う必要があります。
また、すでに何かしらの遺産分割方針が相続人間で共有されていることも、手続きを早く進めるための足掛かりとなります。
3.課題解決までの流れ
初回相談において、大まかな費用感をご提示し、了承いただいたので弊所での作業に入ります。なお、正式な見積書をお出しすることも可能であり、作業着手までの進め方は、お客様の要望に合わせて対応しています。
(1)当事務所での作業
- 相続人確定のための戸籍集め
今回のケースでは、すでに戸籍は収集済みでした。兄弟姉妹が相続人となるケースでは、戸籍集めに時間を要するケースが少なくないため注意が必要です。 - 相続する不動産確定のための作業(固定資産評価証明書や名寄帳の取得)
- 遺産分割協議書案の作成
- 相続登記の申請と完了書類の返却
(2)お客様に対応していただく作業
- 相続人間で話し合いをおこない遺産の分割方法を決定する(遺産分割協議の実施)
すでに相続人間での話し合いが行われているケースでは問題にはなりにくいのですが、相続人間でのつながりが少なく、事前の話し合いが難しいケースがあります。こうした場合には、相続財産の調査を慎重に行うことはもちろんのこと、お客様において遺産分割の方針を固めたうえで、他の相続人にコンタクトをとるなどの対応が必要となります。 - 当事務所が作成する遺産分割協議書への署名押印
- 相続人全員の印鑑証明書の取得
4.対応期間
兄弟姉妹が相続人となり、相続人の数が3~5名程度ということであれば、3~5カ月程度で業務完了となります。
ただし、「相続人確定のための戸籍集め」に時間を要したり、「遺産分割協議の実施」が順調に進まないケースもあります。
「遺産分割協議の実施」が順調に進まないというのは、分割方法について意見がまとまらないということもありますが、それ以前に、相続人間での話し合いの場を設けることに手間取るというケースも多いです。
日ごろの交流が少ない、居住地が遠方である、代襲相続も含むといったケースだと、話し合いの場を設けることだけでも一苦労となります。その苦労を越えた先にあるのは、遺産分割協議(遺産の分け方)というデリケートな課題を相続人全員で一致して解決していくという、次なる苦労なのです。