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この記事では、モデルケースを利用して「成年後見申立て」に関するご依頼を、初回相談から課題解決まで、どのように進めていくのか確認していただくことを目的としています。
1.モデルケース ~成年後見利用のための申立て~
富士市在住のAさん。沼津市に住んでいる母Bさんについて、成年後見制度の申立てを検討しています。
Bさんは、Aさんら子供たちが実家を離れてからはずっと一人暮らしでした。そうしたなか、Bさんは自宅内で転倒、骨折してしまい入院することになったのです。
病院での入院生活をおくるなかで、認知症の症状が悪化。自宅での生活が困難となったため、老人ホームへ入所することになりました。
Aさんとしては、施設利用料を捻出するために住んでいた実家(母Bさん名義)を売却することを検討し、知り合いの不動産屋さんに成年後見制度の必要性を指摘されました。
当初は、自分たちで申立て手続きをしようと裁判所に行ってみましたが、提出書類が複雑であったため、司法書士に申立書類の作成を依頼することになりました。
2.初回相談の内容
初回の相談は、当事務所にて実施しました。事前にご連絡をいただければ、ご自宅等に伺うことも可能です。
(1)依頼内容 ~後見等開始申立書の作成~
成年後見人を選任を家庭裁判所に求めるための書類作成がご依頼の内容でした。
また、申立てに際しては、申立書に「成年後見人候補者」を記載することが可能です。
このケースでは、親族(子)であるAさんを後見人候補者として申立てを進めることとなりました。
また、今回の事例では、後見人の選任に加えて、選任後において「居住用不動産の処分の許可」を取得することも必要となってきます。親族後見の事案においては、こうした選任後の手続きのサポートも行っております。
(2)当事務所からの確認事項
申立書作成にあたっては、とりわけ次のことが重要です。もちろん、初回相談ですべてが明確になるわけではないので、裏付け資料は、その後の作業で集めていくことになります。
- Bさんの心身の状況(見込みも含む)
- Bさんの住まいの状況
Bさんの場合には、すでに老人ホームに入所されており、ここで最後まで生活することを予定していますが、「現在は入院しているけれど、入所できる施設を探している。」とか「現在は入院しているけれど、自宅に戻る予定。」というケースもあります。ご本人の生活環境をどのように考えていくかは、非常に重要な事項です。 - Bさんの財産状況。今後の収支予定。
今回のケースでは、ご自宅を売却し、施設利用料等にあてることを予定しています。そもそも売却が必要であるのか、(必要であるとして)どのような売却プランがあるのか、といった点を確認していきます。 - BさんとAさんとの間に立替金や生活援助のお金のやりとりがあるかどうか
- Bさんの推定相続人となる親族の意向
3.課題解決までの流れ
(1)当事務所の対応
- ご本人の心身の状況、今後の住まいなどについて確認。
- 家庭裁判所に提出する、収支予定表・財産目録を作成(同時に裏付け資料を収集)
- 不動産売却などを予定するケースでは、売却の必要性・相当性の根拠となる資料集めのアドバイス。
- 申立書に添付する戸籍謄本や「登記されていないことの証明書」などを収集。
- 後見人候補者となるAさんと、後見人としての責務や職務を確認する。
(2)お客様にお願いする作業
- 収支予定表・財産目録などの裏付け資料の収集
どういったものが必要かは、当事務所からご説明しますが、ご本人の預金通帳など、ご親族が管理している場合がほとんどであるため、それらの資料を提供いただきます。 - ご本人の診断書を取得
4.対応期間
初回相談から1~2カ月ほどで、家庭裁判所への申立てを完了させるのが標準的なスケジュールです。
さらにそこから、家庭裁判所での手続きとなります。家庭裁判所での手続きは、申立てから1カ月半~2カ月ほどで完了するのが一般的です。
トータルでは2カ月半~4カ月ほどの期間が必要です。