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この記事では、モデルケースを利用して「成年後見人等への就任」に関するご依頼を、初回相談から課題解決まで、どのように進めていくのか確認していただくことを目的としています。
1.モデルケース ~成年後見人等への就任の依頼~
知り合いのケアマネージャーさんから相談をいただいたのは、沼津市に在住のAさんの件です。
Aさんは、沼津市内の自宅にて1人暮らしをしてきましたが、最近、認知症の症状が出始め、周囲の福祉関係者からも、老人ホームへの入所を検討すべきではないかという話が出ていました。
そうした話をしていたおりに、脳梗塞となり入院することに。
治療によりある程度の回復はあったものの、身体機能にも障害が残り、単身で生活を送ることは困難です。
加えて認知症の症状も進み、財産管理や老人ホームなどとの入所契約を自身で行うことは難しい状況となってしまいました。成年後見人の選任が必要と思われるため、ケアマネージャーさんから当事務所に相談がありました。
2.初回相談の内容
(1)依頼内容 ~成年後見人選任の申立て~
後見人選任の申立てをする権限を持つものは、法律上決められており、たとえば本人の福祉サービスについて検討するケアマネージャさんには申立権限はありません。
申立権限がある人の代表格は「4親等以内の親族」です。
Aさんの場合には、子供(Bさん)がいたものの、いろいろな事情があって数十年にわたりBさんとは交流がありませんでした。
ただ、こうした状況になっていることをケアマネージャさんから説明してもらい、結果としてBさんが後見人申立てに協力してもらえることになりました。
後見人候補者欄については、Bさんからの依頼もあり当事務所司法書士を記載いただきました(後見人候補者となることについては、事案の内容や他案件の状況によって難しいこともありますのでご了承ください。)。
(2)当事務所からの確認事項 ~申立書類の作成にあたって~
- Aさんの心身の状況(見込みも含む)
- Aさんの住まいの状況(見込みも含む)
- Aさんの財産状況。今後の収支予定。
- Aさんの推定相続人となる親族の意向
3.課題解決までの流れ
(1)当事務所の対応
- ご本人の心身の状況、今後の住まいなどについて確認。
- 家庭裁判所に提出する、収支予定表・財産目録を作成(同時に裏付け資料を収集)
- 申立書に添付する戸籍謄本や「登記されていないことの証明書」などを収集。
(2)お客様にお願いする作業
今回のように、申立人(Bさん)とご本人(Aさん)との交流がないケースだと、申立人よりも、ご本人のケアマネージャー等の福祉関係者が中心となって対応することが多くなります。
ただし、あくまで申立人はBさんです。
当事務所では、申立書の内容は当然として、後見制度そのものについても丁寧に説明を行い、納得・了解して申立てに進んでもらうようにしています。
- 収支予定表・財産目録などの裏付け資料の収集
- ご本人の診断書を取得
4.対応期間
初回相談から1~2カ月ほどで、家庭裁判所への申立てを完了させるのが標準的なスケジュールです。
さらにそこから、家庭裁判所での手続きとなります。家庭裁判所での手続きは、申立てから1カ月半~2カ月ほどで完了するのが一般的です。
トータルでは2カ月半~4カ月ほどの期間が必要となります。
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