相続した預貯金の承継・解約について

相続した預貯金の承継・解約について

2021年5月1日

1.相続財産の代表例である「預金」「貯金」

(1)もっとも身近な相続財産「預金・貯金」

相続人が、亡くなられた方(被相続人といいます)の財産を引き継ぐにあたって、
預金・貯金は、ほぼ100%の確率で、相続される財産に含まれているのではないでしょうか?

不動産は、持っている方もいれば、持っていない方もいるでしょう。
いっぽうで、預金・貯金を保有していないという方は、珍しいように思います。

ですから、皆さんが相続手続きを進めていくと、ほとんどの方が「預金」「貯金」の相続手続きを経験することになります。

ちなみに「預金(よきん)」も「貯金(ちょきん)」も、金融機関にお金を預けることを指します。
金融機関の根拠法で、預金・貯金の使い分けがなされており、呼称に違いがありますが、利用者の目線で言えば同じものです。
(静岡県東部だと、「貯金」として呼称されるのは、ゆうちょ銀行、富士伊豆農業協同組合、東日本信用漁業協同組合連合会などです。)

(2)預金者の死亡と「口座凍結」

「預金」「貯金」の相続手続きを進めるにあたって、知っておきたいのが「口座凍結」という仕組みです。

口座凍結とは、正式な呼び方ではないのですが、要するに、金融機関が預金者の死亡を把握すると、その時点で入金や出金をできなくするという手続きです。
キャッシュカードを利用してATMで出金するとか、生活費などの引落しができなくなるとか、そういった影響が出てきます。

相続財産を守るという意味ではプラスの手続きなのですが、残された相続人にとっては、思わぬマイナスの影響がでてくることがあるので、「口座凍結」という仕組みは知っておいたほうが良いでしょう。

多くのケースでは、相続人から「預金者が死亡したから相続手続きをしたいんだけど」といって、金融機関に対して死亡の事実を知らせることで口座凍結がされています。

(3)凍結された口座からの出金について

口座凍結された口座から、お金を出金するためには、原則として、のちほど確認する相続手続きを取る必要があります。
相続人が複数いる場合には、相続人全員で歩調を合わせて手続きを進めなければなりません。

なお、これ以外にも、「預貯金の仮払い制度」というのがあります。
これは、一定の割合の金額について、相続人1名からの出金を可能とするものですが、この記事では説明を省略します。

2.「預金」「貯金」の相続手続き

(1)相続手続きの基本(相続人全員で協議して解約)

預貯金であろうと、不動産であろうと、相続手続きは、つぎの4つのステップで進めていくのが基本です。

  1. 必要な戸籍等を集めて、公的書面で「相続人を確定」させる。
  2. 手続きをすべき相続財産をリスト化する。
    (不動産・預貯金・株式・投資信託などなど)
  3. 相続人全員で、相続財産の分配について、話し合いを行う。
    話し合いの結果を「遺産分割協議書」(プラス印鑑証明書)にまとめる。
  4. 遺産分割協議書等を使って、名義変更・解約などの承継手続きを進める。

(2)必要な手続き

預貯金の相続手続きにおいても、必要な作業は上記1~4で変わりありません。

それぞれの手続きについては、つぎの記事も参照ください。
【関連記事へのリンク:「相続人の調査(戸籍調査)の必要性について」
【関連記事へのリンク:相続財産を調べる(遺産調査について)
【関連記事へのリンク:遺産分割協議について

(3)「預金」「貯金」の相続手続の特徴

預金・貯金の相続手続きには、他の相続した財産と異なる、つぎのような特徴があります。

  • 金融機関ごとに手続きを進めなければいけない。
  • 一括して預貯金口座の有無を調査する仕組みが十分でない。
    (相続した預貯金を見逃す可能性)
  • 金融機関ごとに「必要書類」が異なる可能性。
  • 承継するタイミングで、相続人ごとに「分配」する作業も可能。

こうした特徴を把握したうえで、相続手続きを進めるようにしましょう。

3.自分で進める?専門家に依頼する?

(1)自分で進める人が大多数??

私たち司法書士事務所では、日常的に、相続の相談を受けます。
とくに多いのが「相続登記(相続した不動産の名義変更)」の相談なのですが、相談を受ける時点で3~4割くらいの方が「すでに預金・貯金については、自分たちで手続きを済ませた」とおっしゃいます。

『病院代』『施設利用料』『葬儀費用』『お寺』『お墓』などなど、すぐに必要となるお金を工面するために、最優先で取り組む必要があったというのが、理由として大きいかもしれません。

1つや2つの金融機関であれば、相続関係が複雑でなければ、自分で進めるという方が多い印象です。

(2)専門家に依頼しても良いケース

一方で、専門家にまかせるべきケースもあります。

  • 相続人が多数いる。
  • 複数の金融機関で手続きが必要。
  • 1つの(あるいは複数の)預貯金を複数の相続人で分配する。

(3)専門家に依頼するメリット

4.司法書士貝原事務所と「預金・貯金」の相続手続き

(1)沼津の司法書士・貝原事務所のご紹介

(2)当事務所における「預金・貯金」の相続手続き

この記事に関連する事例

2.あらかじめ必要な書面を確認

効率的に預貯金の相続手続きを行うポイントは、相続人間で遺産分割協議を行う前に、各金融機関から相続手続きを行うのに必要な書式を受け取っておくことです。

金融機関での相続手続きでは、戸籍や遺産分割協議書などの一般的な相続書類のほかに、各金融機関に固有の届出書に署名押印を求められます。
せっかく遺産分割協議書を用意して、あとは承継手続きを行うだけとなっても、銀行の窓口に行ったら、銀行への届出書に相続人の印鑑が必要になるというケースもあります。
預貯金の承継の仕方によって、相続人全員が捺印する必要があるのか、特定の相続人が捺印すれば良いのか変わってくるので、「届出書のどこに押印すれば良いのか」「誰が押印すればよいのか」という点は、必ず事前に確認しておくべきです。

3.遺産分割協議書の作成も重要

複数の預貯金口座がある場合には、遺産分割協議書を作成して、誰が取得するのか定めるのが通常です。遺産分割協議書の作成に際しては、つぎの点に注意する必要があります。

(1)正確な記載

金融機関・支店名・口座種別・口座番号など、相続手続きを行う口座が特定できるよう正確に記載しましょう。とくに、複数の口座がある相続で、口座ごとに承継する相続人をわけたり、1つの口座を複数人で分割して相続するケースでは「誰が、どの口座を、どの割合で取得するか」を明確にしておく必要があります。

(2)代表相続人の設定

金融機関にもよりますが、「代表相続人」を定めることによって承継手続きを簡単に進めることができるケースがあります。
たとえば、A銀行の口座を相続人XYZで各3分の1ずつの割合で取得する場合、原則として、A銀行の承継手続きにXYZが関与する必要があります。
一方で、代表相続人をXとしておけば、Xが代表して解約手続きを行い、その後YZに分配するという方法をとることができます。

4.遺産承継サポートを行っています

預貯金の承継手続きは、手続き自体はそれほど複雑ではないものの、手続きを行うべき金融機関が多くなりがちで、しっかりとしたステップを踏んでいかないと二度手間三度手間となり結果として非常に時間や負担を要することになります。
こうした時間や負担を軽減する方法として、各士業が提供する遺産承継サポートを利用する方法があります。当事務所においても、預貯金の解約・承継をはじめとした遺産承継サポートを行っております。

【参照記事:当事務所が提供する相続関連サービスについて】