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1.そもそも遺言事項とは
付言事項について考える前に、まずは「遺言事項」とは何かを知る必要があります。
「遺言事項」とは、遺言の記載することで、遺言者の死亡後に法的効力が発生する事項です。
遺言事項は、法律に定められている事柄に限定されています。
たとえば次のような事柄です。
- 遺産分割方法の指定(遺産の分け方を指定すること)
- 相続分の指定(遺産の承継割合を指定すること)
- 遺言執行者の指定
2.付言事項とは
遺言事項以外の事柄は、遺言に記載しても法的な効力は発生しません。
これを「付言事項」といいます。付言事項は、あくまでも希望やお願いなのです。
付言事項として記載されるのは、遺言事項以外のすべてとなるのですが、代表的なものには次のような事柄があります。
- 葬儀の形式の指定
- お墓や納骨に関する指示
- 遺言事項を定めた気持ちや理由
- 親族に対する感謝の言葉
遺言を記載する際には、まずは「遺言」とタイトルを付けて遺言事項を記載し、そのあと「付言事項」とタイトルを付けて付言事項を記載するのが一般的です。
これは、遺言事項と付言事項を区別するという意味合いもあります。
3.どうして区別が必要か?
付言事項を記載する場合には、遺言事項との区別を意識することが重要です。
遺言本文の中では「遺産は相続人Aにすべて分ける」と記載する一方で、付言事項の中で「遺産は相続人同士で均等に分けてほしい」といった記載がなされていることがあります。
こうした記載をすると、遺言執行(遺言の内容を実現する場面)において、Aさんにすべて相続させればいいのか、相続人同士で均等に遺産分割すべきなのか、遺言の内容が定まらない事態を生じさせてしまうのです。
ここまで極端な例はないとしても、遺贈する代わりの負担(条件)であるのか、あくまで希望に過ぎないのか、判別しにくい遺言(とくに自筆証書遺言)に遭遇することがあるので、注意が必要です。
4.付言事項では不足する場合
付言事項はあくまで希望・願いです。
たとえば、「死後はお墓ではなく、地元の海に散骨してほしい。」という事柄を付言事項として記載しても、これは相続人等へのお願いに過ぎないのです。
そこで、とくに葬儀・埋葬の形式や方法について「死後事務委任契約」という形で、法的な効力を持たせる方法もあります。
【参照記事:死後事務委任契約とは】
死後事務委任契約は、とりわけ葬儀・埋葬を主宰する親族が不在である場合に有効です。
5.遺言作成にあたっては専門家への相談を!
最近は、遺言を残す方が増加しており、弊所でも遺言に基づく相続登記・遺産承継手続きが増加傾向です。
ただし、なかには依頼をいただくものの(とくに自筆証書遺言に多いのですが)、遺言の形式不備等で適切な遺言執行ができないケースが、一定数存在しています。
また、遺言の法的効力には問題はないものの、実質的によりベターな記載方法があったり、遺言執行に際して配慮すべき事項が抜けていたりして、遺言内容の実現に苦慮するケースもあります。
当然ながら、ご自身の死後に、遺言執行に不都合が生じたからと言って遺言を書き直すことはできません。遺言を作成する際には、司法書士等の法律専門職に相談の上、できれば一緒に作成を進めていただければと思います。
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