遺産承継と相続税の申告について

遺産承継と相続税の申告について

2021年5月2日
相続・遺言

相続税や相続税申告は、税理士資格をもった人でないと取り扱うことはできません。
当事務所においても、実際のご相談や業務において、相続税関連の課題が発生した場合には、すみやかに税理士への相談をするよう依頼者の方に話をします。必要があれば、税理士のご紹介も行っています。
本記事では、基本的な制度の説明にとどめておりますので、ご了承ください。

1.相続税申告が必要なケースの増加

(1)相続税に関する検討が必要な理由

一昔前は、相続税に関係する方は、亡くなった方のうち4%程度にとどまるといわれていました。これに変化が生じたのが、平成27年です。
改正された相続税法が施行され、この割合が8%程度まで上昇したのです。

8%というと「まだ少ないなあ」と思われるかもしれませんが、不動産を含む相続に関係することが多い司法書士の目線で見ると、取扱い業務において相続税申告が必要なケースが顕著に増加したと感じています。また、結果として申告の必要はなくても、いちおう税理士さんにチェックしてもらうケースも増えています。

(2)相続税の申告期限に注意!

「相続税」において何より怖いのが、相続税の申告と税納付には「相続の開始があったことを知った日の翌日から 10カ月以内」という期限が定められていることです。
最初から申告ありきで動いているケースは良いのですが、ときおり、相続財産を調査したら税理士さんへの相談が必要な事案であったということがあります。
弊所へのご相談の時点で半年くらい経過している方も珍しくないため、そうした案件の場合には、早急に税理士さんのところへ行かなければならないのです。

2.相続税の申告とは

相続税の申告は、相続財産等の合計額が基礎控除額を超える場合に必要となります。
「相続財産等の合計額」については、不動産は相続税に即した評価が必要であること、死亡退職金や死亡保険金などの「みなし相続財産」の存在など、注意すべき事項がたくさんありますが、この点は税務分野となるため詳細は省略します。
いずれにしても単純な作業・計算で決定できるものではなく、資料集めや評価の作業など時間・手間のかかるものだといえます。

3.基礎控除について

基礎控除額とは、「3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数 )」で計算される金額です。冒頭で紹介した平成27年に施行された相続税法は、この基礎控除の金額を大きく減少させるものでした(改正前は、「5000万円+(1000万円×法定相続人の数)」でした。

また、数十年前と比較すると、単独相続(相続人が1名)とか子供が1人や2人という事案が増えており、基礎控除額が低くなりがちというのも、申告が必要な方が増える要因だと考えています。

4.「申告=課税」ではない

なお、相続税の申告が必要だからと言って、かならず相続税が課税されるわけではありません。
この点についても税務分野となるため制度の紹介だけにとどめますが、たとえば「配偶者の税額の軽減」「小規模宅地等の特例」などを利用することで相続税額をゼロにすることができたとしても、これらの特例の適用を受けるためには申告が必要となります。

5.まとめ(相続税に対応した遺産承継を可能にするために)

(1)相続対策の必要性

ご自身の資産状況から考えて、相続税が課税される可能性が高い方においては、相続税も見越した相続対策が必要となります。
もちろん、「実際に相続が発生してから相続人が対応すれば良いのだ」という考え方も間違いではないのですが、申告期限が10カ月と短いため、相続人が相続手続きに着手するころには、ほとんど時間が残っていないケースも目にします。
そう考えると、最低限「相続税がかかりそうだよ」ということだけでも相続人となる方に伝えておく、もう一歩踏み込んで「相続税シミュレーションをしておく」、さらに踏み込んで「相続税にも配慮した遺言を作成する」などの対応が求められているように思います。

(2)相続が発生した場合の対応

すでに相続が発生した方においては、まずは基礎控除額が自分たちの相続ではいくらになるのかを確認してみましょう。
そして、相続財産の額(この場合には、相続に関連して承継したり受け取った財産の合計額。)が基礎控除額を超える又は近い金額になる場合には、税理士や司法書士など、相続に関係する業務を行っている専門職に相談すべきです。相続財産の額がわからない場合にも同様です。