供託手続きによる休眠抵当権の抹消事例

供託手続きによる休眠抵当権の抹消事例

2020年12月21日
守秘義務および個人情報保護の観点から、実際の事案を変更・編集して記載しています。

所有する土地に残っていた古い抵当権の抹消

不動産業者様経由で問い合わせをいただいたAさん。(函南町在住)
所有する土地を売却しようとしたところ、登記簿上に抵当権が残っていることが判明しました。
先祖伝来の土地で、借り入れなどもしたことがなかったのにと登記簿を確認してみると、なんと「大正7年4月30日金員貸借同日設定」との表記。

債務者も記載されているのですが、まったく知らない人でした。
ちなみに債権額は「金10円」でした

供託手続きによる抵当権の抹消

相続で承継した土地に、上記のような古い抵当権が残っていることは、よくあります。
売買等する際には、設定されている抵当権等は抹消したうえで引渡しを行う必要があるため、どこかの段階で抹消手続きがとられるのですが、そうした機会がないまま、令和の時代まで来てしまったというものです。
また、債務者が個人であるもの、昔の銀行であるもの、昔の財産区であるものなど、バリエーションも様々で、それに応じて、いろいろな抹消方法があります。

今回のAさんのケースでは、「不動産登記法70条3項後段」に規定されている供託手続き(法務局に金銭を納付する)を利用して抹消することとしました。
なお、すべてのケースに、この供託手続きが利用できるわけではありません。
詳細は省略しますが、いくつかの条件を満たす必要があります。

供託手続きを利用することで、無事に抵当権を抹消することができたAさん。
予定していた不動産売買も、その後、滞りなく完了することができました。
しかしながら、古い抵当権を抹消する際に裁判手続きを利用せざるを得ないケースもあります。
そうなると、少なくとも半年、場合によっては1年以上、抹消までに時間がかかるケースもあります。
注意が必要です。

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