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この記事では、モデルケースを利用して「相続関係がシンプルな遺産承継業務」に関するご依頼を、初回相談から課題解決まで、どのように進めていくのか確認していただくことを目的としています。
1.モデルケース ~遺産承継業務~
沼津市にお住いのCさん。
母Aさんが亡くなり、Aさんの遺産承継の手続きを行うことになりました。
相続人は、父Bさんと、Aさんの子である、Cさん、Dさん、Eさんの3名です(DさんとEさんは、いずれも県外に在住。)。
Aさんの遺産としては、長泉町の不動産と預貯金(地方銀行、信用金庫、農協の3つ)、それから信託銀行に投資信託がありました。
当初は自分で相続手続きをしようと思ったものの、必要書類や捺印書類が多く、また法務局や複数の金融機関などを回るのも大変そうでした。
加えて、県外在住の兄弟に何度も押印を依頼したりすることもわずらわしかったので、当事務所への依頼を検討することとなりました。
2.初回相談の内容 ~相続登記・預貯金承継~
(1)依頼内容
ご依頼の内容はつぎのとおりです。
- 長泉町の不動産について相続による名義変更を行う(相続登記)
- 預貯金について解約・承継手続きを行う。
- 投資信託は売却して現金を分割する。
(2)当事務所からの確認事項
- 口頭で、相続関係の確認を行いました。相続関係としては、複雑な要因はなく、また相続間での協議も円滑に行えるとのことでした。
- 相続人間で簡単な話し合いを行い、基本的には相続人3名で3等分にしたいとのご希望でした。一方で、長泉町の不動産については、相続登記後、一定期間経過したら売却したいとのご希望を確認しました。
- まずは、戸籍収集による相続人の確認と、遺産調査を実施し遺産目録を確定させることとしました。
- また、初回相談の段階で、費用概算をお示しし、ご了解をいただきました。遺産調査が進めば、確定したお見積りを提示できることについても、ご説明のうえ、了解をいただきました。
3.課題解決までの流れ
(1)当事務所の対応
- 戸籍調査による相続人の確定
- 名寄帳を取得して不動産の確認
- 各金融機関で残高証明書を取得して、預貯金額や投資信託の価値を確認。
- 遺産目録を作成する。
今回課題となったのは、不動産を相続人間でどのように分割するのかという点です。
将来的に売却することを予定していたので、4人で共有して相続するか、1人が単独で相続した上で他の財産の取得分で調整するか、といった選択肢を検討する必要がありました。
不動産の売却が関係する場合には、売却にともなう費用(建物解体費用や不動産仲介手数料)や税金(譲渡所得税や不動産所得に付随する健康保険料等)をも考慮する必要があります。
- 遺産分割の結果を、遺産分割協議書として文書化する。
- 遺産分割協議書のほか、法務局や金融機関に提出する書面をそろえ、関係する相続人に郵送にて捺印をもらう。
- 法務局にて相続登記の申請を行う
- 金融機関にて預貯金及び投資信託の解約・承継手続きをおこなう。
(2)お客様にお願いする作業
- 遺産分割の話し合い
- 相続人全員の印鑑証明書を取得
- 遺産分割協議書のほか、相続手続書類への押印。
4.対応期間
こうしたケースでは、4~6カ月程度の期間で承継手続きが完了することが多いです。
ただし、分割方法に関する話し合いや、相続人の押印手続きなどで、予定以上の時間がかかる可能性もあります。
相続登記や複数の預貯金の承継手続きが必要となるケースにおいては、手続きの負担が相応なものとなります。
費用対効果をみながら、当事務所の活用をご検討いただければと思います。