遺言執行者の選任の申立て

遺言執行者の選任の申立て

2020年12月31日
相続・遺言

遺言によって遺言を執行する人が指定されていないとき又は遺言執行者がなくなったときは、家庭裁判所は、申立てにより、遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言の内容を実現する者のことです。
遺言の効力は、遺言者の死亡によって発生しますが、不動産の名義変更や預貯金の解約・承継など、遺言者の死亡後に各承継手続きが必要となります。
承継手続きに際しては、遺言執行者の選任がない場合には、遺言者の相続人全員が協力して手続きを進める必要があります。
「相続人全員の協力が必要」とは、たとえば不動産の名義変更にあっては、遺言によって不動産を承継した人と遺言者の相続人全員が共同で登記の申請をする必要があるということです(たんに一緒に申請すればOKというわけではなく、実印の押印や印鑑証明書の添付が要求されます。)。
これらの手続きの手間を省くために、遺言執行者の選任は非常に効率の良い手段といえます。

遺言執行者は、受遺者自身や相続人の1人でもなることが可能です。(当然ながら、家庭裁判所により選任される必要があり、選任については家庭裁判所に裁量があります。)
また、遺言執行者に選任されたものは自ら執行行為を行わなければならないのが原則ですが、遺言執行者は復任権をもちますので、遺言執行者が適宜復代理人を選任し執行行為をスムーズに進めることも可能です(たとえば遺言執行者には親族を指定し、指定を受けた親族は復任権を利用し、具体的な執行を専門家に委任する方法)。

選任の申立てについて

利害関係人(相続人、遺言者の債権者、受遺者など)であれば、申立人となることができます。
また、申立先は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所です。
申立てに必要な費用としては、(1)執行の対象となる遺言書1通につき収入印紙800円分と、(2)連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所ごとに異なります。各裁判所HPあるいは問合せで確認する必要があります。)です。

申立てに必要な書類

  1. 申立書
  2. 標準的な申立添付書類
    1. 遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本(申立先の家庭裁判所に遺言書の検認事件の事件記録が保存されている場合(検認から5年間保存)は添付不要です。)
    2. 遺言執行者候補者の住民票又は戸籍附票
    3. 遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し(申立先の家庭裁判所に遺言書の検認事件の事件記録が保存されている場合(検認から5年間保存)は添付不要です。)
    4. 利害関係を証する資料(親族の場合、戸籍謄本(全部事項証明書)等。受遺者の場合には遺言書より明らかであるので不要です。)

検認申立てに引き続きなされることが多く、その場合には、大幅に添付書類が省略されます。

申立後の流れ

  1. 申立てにより家庭裁判所は遺言執行者選任の審判を開始します。
  2. 審判のために、申立人や候補者が家庭裁判所に出頭することは予定されておらず、出頭しないかわりに、申立人及び候補者宛に照会書が家庭裁判所から送付されるの通例です。
    (候補者に対しては、候補者の職業や遺産の内容等を簡単に確認するもの。)
    (申立人に対しては、申立の経緯や候補者を挙げた理由を簡単に確認するもの。)
  3. 上記照会を踏まえ、家庭裁判所は審判を行い、遺言執行者を選任します。審判の内容は、審判書として申立人及び遺言執行者に送付されます。
  4. この審判書を、この後の登記手続等において利用することとなります。