遺言の役割と種類について

遺言の役割と種類について

2021年5月1日

1.遺言の役割

遺言の最大のメリットは「あらかじめ遺産の分け方を指定することで、遺産分割協議が省略できる。」という点にあります。
遺言がない場合、引き継がれた相続財産は、相続人が複数いる場合、相続人全員の共有状態になります。この共有状態を解消するために遺産分割協議が必要となります。
遺産分割協議では、相続人全員が合意して分割方法を決定する必要がありますが、いろいろな事情があって話合いすらできないケース、相続人間で分割方法について合意できないケース(相続争い)では、分割方法を定めることができず遺産の処分や利活用の障害となります。

正しく遺言を残すことによって、トラブルの種となる「遺産分割協議」をスキップできるのです。

2.遺言の種類

遺言には、その作成方法によって、いくつかの種類があります。種類ごとに、作成する方法や、遺言の内容を実現する手続きに違いがあります。

この記事では、自筆証書遺言と公正証書遺言をご紹介します。

(1)自筆証書遺言

自筆により作成する遺言です。ただし、遺言に付属する相続財産目録については、自署が不要とされています(目録の余白に署名押印が必要です。)。

証人は不要ですが、遺言執行にあたっては家庭裁判所における検認手続きが必要となります。

遺言書原本は自ら保管する必要がありますが、法務局での遺言書保管制度を利用すると法務局で代りに保存してもらうことができます。遺言書保管制度を利用した場合には、検認手続きは不要となります。
【参照記事:法務局による自筆証書遺言の保管について】

(2)公正証書遺言

証人2名以上の立会いのもと、遺言内容を聞いた公証人が、公正証書として作成する遺言です。作成にあたって、公証人に対する手数料が発生します。

原本は公証役場で保管されますが、作成時に謄本(原本と同内容のもの)が交付されます。

遺言執行にあたって、自筆証書遺言のような検認手続きを経る必要がないので、すみやかに執行に着手することができます。

3.遺言の作成

遺言の作成にあたっては、次の点に注意する必要があります。

  1. 法律の規定に従った正確な遺言を作成すること
  2. 遺言の内容を実現する際、スムーズに手続きができる内容とすること
  3. 遺言を受け取る相続人に配慮した内容とすること

これらの点に対応するためには、インターネットや書籍の内容を参照するだけでは不十分だと思われます。
相続登記や遺産承継業務の受託にあったって、以下のようなケースを少なからず目にします。

  • 形式的な不備があったため、せっかく作成しても遺言としての効力が生じないケース
  • 遺言執行を想定して作成していなかったため、金融機関で遺言による手続きを拒否されたケース
  • 遺言者の一方的な思いで作成された遺言であるため、相続人にとっては非常に都合の悪い内容となっており、相続人が対応に苦慮したケース

いずれも「遺言作成段階でお話を伺っていれば、改善提案ができたのに。」と思うものばかりです。
遺言の作成にあたっては、法律専門職の活用をご検討ください。