「残された人達に気持ちを伝える」ための付言事項

「残された人達に気持ちを伝える」ための付言事項

相続・遺言

1.付言事項とは

付言事項とは、遺言書の末尾に、遺言者の思いや希望などを残された人たちに伝達するために記載する「法的効力を持たない記載事項」を指します。
対して、「遺言により法的な効力を発生させる事項」のことを「遺言事項」といいます。遺言事項は法律で限定列挙されており、たとえば「遺産分割の方法」や「死後認知」などがあります。
付言事項は、遺言事項ではないものの、遺言事項の記載理由や遺された方々へのメッセージを伝える役割を果たすものです。詳しくは、以下の参照記事をご覧ください。

【参照記事:付言事項について(総論)】

2.遺言者の「感謝の気持ち」や「希望」を伝える

(1)意味合い

遺言事項は、遺言者の死後に法的な効力を発生させるものであるため、相続開始後に、遺言者による「修正」や「意味の補足」はできません(亡くなられているので)。
したがって、記載内容が意味不明であったり、多義的(いくつもの意味がとれる)であったりするということは許されません。その結果、遺言事項のみで構成される遺言書は、堅苦しく冷たい印象を受けることになります。

これは仕方のないことであり、むしろ遺言事項の記載は簡潔明瞭であるべきと思いますが、一方で遺言者の思いや気持ちも、残された相続人に伝えたいと考える人もいるでしょう。
そうした「思い」を伝える方法として、付言事項は活用できます。

(2)付言事項の記載例

そうはいってもイメージがわかない人が多いかと思いますので、つぎのような文例をご紹介します(以下は、参考のために、当事務所で作成したサンプルです。)。

  • 「感謝」を伝える
    妻○○、長女○○、長男○○、いままで本当にありがとう。
    妻○○とは、出会ってから〇十年、山あり谷ありでしたが、感謝の気持ちでいっぱいです。
    長女○○と長男○○には、ここ最近はお世話になりっぱなしでした。ずっと子供のままなのかと思っていたら、予想以上に立派に成長していて、侮っていました。本当にありがとう。それから妻○○のことをよろしくお願いします。
  • 「思い(遺留分の行使について)」を伝える
    今回、私の全財産のうち4分の3を長男○○に、4分の1を妻○○に相続させる内容としました。結果として、長女○○、二女○○には遺産は無い形となりますが、これは長男○○の介護費用・入院費用を考えてのことです。どうか、遺留分については、放棄してくれることを希望します。