後見人の報酬について

後見人の報酬について

成年後見

1.本人財産のみが報酬を負担する

(モデルケース)
Aさんは、叔母Bさんの介護や生活援助を長年行ってきました。
3年ほど前にBさんは自宅で転倒して骨折し、介護が必要な状況になったのですが、Bさん自身には子供がいませんでした。そこで親族同士が話し合いを行った結果、Bさんの亡兄の子で、近所に住んでいたAさんに白羽の矢が立ったのでした。
当初は、週に数回の見守りと、月に2回くらいの通院補助のみで、Aさんとしてはそれほどの負担とは思っていませんでしたが、ここ1年くらいでBさんに認知症の症状が出始めてから状況は一変してしまいました。認知症の症状のため、一日に何度も呼び出されたり、Bさん自身で財産管理ができなくなってしまったためときにはAさんが支払いを立て替えたりと、とてもAさん一人では対応できなくなってしまったのです。
あらためて親族間で話し合いを行い、(1)成年後見人の選任を申立てる、(2)親族で対応できる範囲は超えているので専門職に後見人を依頼する、ということになりました。ただ、Aさんが気になったのは、Bさん自身の資産が少なく弁護士や司法書士などの専門職が後見人となった場合に、その報酬をどうすればよいのかという点でした。

まず重要な点ですが、専門職後見人の報酬は、ご本人の財産のみから受領することができます。ご本人の財産が少なく、報酬が受領できない場合においても、親族が肩代わりする必要はありません。

2.報酬の目安

専門職後見人の報酬は、各地の家庭裁判所(より正確にいうと裁判官)が決定します。
そして全国統一の算出基準があるわけではなく、それぞれの家庭裁判所が独自の基準で決定しているのが現状です。ただし、多少の差異はあるものの、おおむね次のような基準であると言われています。

1000万円以下の場合には報酬月額2万円。

1000万円超5000万円以下という場合には、月額3~4万円。

これは、東京家庭裁判所がHP上で公開しているものです。地域によっても差がありますし、また本人財産の状況によっても変わってきます。参考までにですが、弊所司法書士が受任しているケースでは、管理財産1000万円以下の場合には年額で年間15万円から20万円くらいというのが平均的な金額であるように思います。もちろん、資産がわずかなため、より低い金額だったり、報酬を受領していない案件もあります。

3.本人財産では負担できないとき

ご本人の財産や収入が少ないため、上記基準による報酬額を負担できない場合には、家庭裁判所が受領可能額まで報酬額を減額したり、あるいは基準通りの報酬認定がされても報酬を受領できないことになります。
こうした状況においても、ご本人の親族や関係者が専門職の後見人の報酬を負担する義務はありません。

ただし、そうなると財産や収入の少ない人が後見制度を利用しにくい状況が生まれてしまいます(いくら専門職といえども、無報酬の後見事案を何件も受けられるわけではないためです。)。
そこで、一部自治体では、そうした無報酬事案に対して報酬助成を行っています。予算の都合もあってか、非常に厳しい要件の下で限定的な助成が行われているのが現状です。

とはいえ、上記のようなケースにおいて「専門職の報酬が負担できないから申立てをやめよう」というような考えになる必要は全くなく、ご本人や親族にとって成年後見制度を活用するメリットがあるのならば、後見人の報酬を気にすることなく申立てをすべきです。

4.親族後見人と報酬

これまでは、専門職後見人の報酬について話をしてきましたが、親族後見人についても報酬付与の申立てを家庭裁判所に行うことは可能です。
ただし、親族の場合には法律上の扶養義務との関係もあり、上記基準に沿った報酬が認定されるかどうかは不分明です。上記基準も、いちおうは専門職後見人に対する報酬基準とされており、親族後見人については上記基準から減額される可能性があることを明示しています。