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1.相続登記を知ることで相続手続き全体を知ることができる!
(1)相続登記とは
相続登記とは、亡くなられた方(被相続人といいます。)が所有していた不動産について、その不動産を引き継ぐ相続人の名義に変更する手続きのことをいいます。
かんたんに言えば、「相続した不動産の所有者について、相続による名義変更をおこなう。」ということです。
(2)相続するのは不動産だけではない!
この記事は「相続登記の進め方」と題して、相続登記の基本的な流れについて解説したシリーズの最終章です。
ここまで、シリーズを通して読んでいただけた方(シリーズ1から5まであります。)のなかには「やれやれやっと終わったよ・・・」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、これまでの説明で終わったのは「不動産の相続について」です。
相続によって引き継ぐ財産と言うのは、不動産だけではありません。
預貯金などはその代表例ですし、預貯金のほかにも、上場株式・投資信託・自動車などさまざまな相続財産があります。
(3)相続登記の進め方を知ると、他の相続財産の手続きにも役立つ
そうした他の財産との比較で考えてみると、じつは「相続登記の手続き」は相続のエッセンスがギュッと詰め込まれた手続きといえます。
相続登記の手続きを知ることは、他の相続財産の手続き(たとえば預貯金)を進めるときにも必ず役立ちます。
むしろ相続登記を単独で進めるのではなく、預貯金などの他の相続財産の手続きと一緒に進めることは、相続手続き全体を正確に・効率的に完了させるために必要不可欠といえます。
ぜひ、相続登記の手続きについて学びながら、他の相続財産の手続きも同時に完了させてしまいましょう。
2.相続登記と預貯金の相続手続きの比較
(1)預貯金の相続登記の手続きと比べてみよう。
なぜ、相続登記と、預貯金などの他の相続財産の手続きを一緒に進めるべきなのでしょうか?
まず最初に、相続登記(不動産の相続手続き)と、預貯金の相続手続き(不動産以外の財産の代表として)を比較してみましょう。
まずは相続登記の手続きですが、このシリーズでは、相続登記の手続きを4つのステップに分けて解説しています。
- 戸籍集めによる相続人の確定
- 相続登記をすべき不動産の調査
- 相続人同士で不動産を取得する人を決定(遺産分割協議)
- 相続登記を法務局に申請(必要書類とともに)
同じように預貯金の相続手続きを4つのステップに分類すると、次の通りです。
- 戸籍集めによる相続人の確定
- 預貯金を保有している金融機関への調査
- 相続人同士で預貯金を取得する人を決定(遺産分割協議)
- 各金融機関において相続手続きを実行(必要書類とともに)
こうして比較してみると、ほとんど同じということがよくわかります。
さらに、つぎで確認をしますが、必要な書類においても、ほとんど同じなのです。
(2)預貯金の相続手続きにおいて、必要な書類
預貯金の相続手続きにおいては、金融機関ごとに必要な書類を定めているため、必ずしもこれがあればオーケーと言うものはお示しできません。
ただし、基本的に必要となる書類は次のものです。
- 金融機関が定める相続届
- 被相続人の相続関係を確認できる戸籍一式
- 相続人全員の現在の戸籍
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 通帳やキャッシュカード(必須ではない)
このうち、金融機関に提出する相続届については、遺産分割協議書の中で、預貯金の取得者が明確に定められていれば、代表相続人や、預貯金の取得者のみの押印で足りるものとなっています。
(逆にいうと、そうした遺産分割協議書がないと、金融機関ごとに、相続人全員が相続届にハンコを押していかなければならないということです。)
また注意点としては、印鑑証明書の有効期限です。
相続登記と異なり、金融機関では印鑑証明書の有効期限を6カ月と限定していることが多いため、たくさんの金融機関で手続きを行う場合には、急いで相続手続きを進めていかなければなりません。
(3)預貯金の相続手続きは、金融機関の数だけ必要。
相続登記と、預貯金の相続手続き等で大きく異なるのは、同じ手続きを繰り返す可能性が、預貯金の相続手続きの方が高いと言うことです。
相続手続きにおいても、例えば沼津市にある不動産と、東京に東京都港区にある不動産を所有していた場合、相続登記の申請は「静岡地方法務局沼津支局」と「東京法務局港出張所」にそれぞれ申請をする必要があります。
とはいえ、こうした異なる管轄に申請を出さなければいけないケースは、それほど多くないかと思います。
一方で、金融機関の場合には、例えば、静岡銀行の預金相続の手続きと、三島信用金庫の預金相続の続きを行う場合には、静岡銀行と三島信用金庫それぞれで手続きをする必要があります。
複数の金融機関に口座を持っている方は、少なくはないでしょう。
そのため、準備不足のまま相続手続きを進めてしまうと、複数の金融機関に対して、繰り返し同じような書類を提出しなければならず、最悪の場合、そのたびごとに相続人全員からハンコをもらわなければいけないという事態にもなりかねません。
そうした状況にならないためのポイントは、相続登記のために作成する、遺産分割協議書にあります。
3.預貯金の相続手続きと相続登記を効率よく進める!
(1)相続登記のための手続きと並行して進めよう!!
効率よく相続登記(不動産の相続手続き)と銀行の相続手続きを進めるポイントは、つぎのとおりです。
- しっかりと預貯金口座の調査をしてから、遺産分割協議を行う。
- 遺産分割協議書に、不動産だけでなく、預貯金などについても、誰がどにように相続するかを明示しておく。
(2)相続した預貯金の調査を行うこと
亡くなられた方の通帳や取引記録が確認できるのであれば、金融機関から残高証明書を取り寄せましょう。
手元にある通帳以外にも口座がある可能性もあるため、残高証明書の取得はオススメです。
一方で最近はペーパーレスのため、最初から通帳が発行されないため、相続人が亡くなられた方名義の口座の存在に気づかないということも増えています。
こうした「隠れ預貯金口座」を見つける裏技みたいなものは、残念ながらありません。
1つ1つの金融機関に対して、照会をかけていくしかないのです。
(3)相続した預貯金も含めて、遺産分割協議書を作成すること
預貯金の調査が完了したら、不動産と一緒に遺産分割協議書を作成していきましょう。
- 相続人全員で話し合いをすること
- 不動産や預貯金などのを、誰が、どういった割合で取得するか明確にすること
- 決定した内容を、正しく明確に遺産分割協議書に記載すること
- 相続人全員が署名または記名の上、実印を押印すること
- 相続人全員の印鑑証明書を集めておくこと
こういった点に注意しながら、遺産分割をまとめ、遺産分割協議書を作成しましょう。
預貯金の承継手続きまで考えて、相続人代表者や承継方法を工夫することもあります。
4.相続登記や遺産承継の手続きは自分でできる?
専門家は?
(1)相続登記や遺産承継の手続きは自分でできる
相続登記や預貯金などの各種相続財産を、亡くなられた方から相続人に引き継ぐ手続きのことを、当事務所では遺産承継手続きと読んでいます。
こうした遺産承継手続きは、相続人がご自身で行うのが原則ですが、相続人からご依頼を受けて、専門家(たとえば司法書士)が手続きを代行させていただくこともございます。
(2)専門家に相続登記や遺産承継をまかせたほうが良いケースとは?
専門家に相続登記や遺産承継をまかせたほうが良いケースは、たとえば次のようなケースです
- 相続した不動産や預貯金(金融機関の数)がたくさんあり、順番に効率よく手続きを進めていかなければならない
- 兄弟姉妹の相続や、甥姪も含まれた相続など、相続関係が横に広がっているケース。
- 法務局や金融機関に何度も足を運ぶ時間がない。書類作業は誰かに任せてしまいたい。
(3)相続登記の専門家は司法書士(遺産承継手続きにも対応!)
司法書士は、相続登記をはじめとした登記の専門家です。
また、最近では相続登記(不動産の相続)だけではなく、預貯金などの金融資産も含めた相続手続きの支援(遺産承継業務とか遺産整理業務)も行っています。
5.相続登記・遺産承継を任せるなら司法書士に!
(1)沼津や三島などの沼津近隣の方なら
相続登記や遺産承継手続きについて、司法書士に依頼をしたい、あるいは司法書士に相談してみたいということであれば、お住いのお近くの司法書士に声をかけてみてください。
沼津・三島などの静岡県東部地域にお住まいの方で、身近な司法書士がいないということであれば、ぜひ当事務所(沼津の司法書士貝原事務所)にお問い合わせください。
(2)身近な司法書士の探し方
「自分の住まいの司法書士を検索してみたい」ということであれば、つぎのサイトがお役に立つと思います。
「都府県名+司法書士会」で検索すると、地元の司法書士会のページを見つけることができます。(北海道は、札幌・函館・旭川・釧路の4つ)
6.沼津の司法書士貝原事務所が紹介する「相続登記の進め方」
(1)「相続登記の進め方」に関連する記事
「相続登記の進め方」シリーズでは、相続登記の流れを確認したうえで、ひとつひとつのステップについて、相続登記の手続きを分解してご説明してきました。
こうした、相続登記の各ステップは、じつは不動産の相続手続きだけでなく、預貯金などの他の相続財産の手続きについても応用できるものです。
あらためて、相続登記の進め方について確認したいという方は、下記の「相続登記の進め方」シリーズをご覧ください。
(2)相続登記の進め方(沼津の司法書士が解説!)
この記事⇒〇相続登記の進め方【6:不動産以外の相続手続き】