相続登記の進め方【4:遺産分割協議】

相続登記の進め方【4:遺産分割協議】

2023年2月17日

1.相続登記って?

(1)相続登記とは

相続登記とは、亡くなられた方(被相続人といいます。)が所有していた不動産について、その不動産を引き継ぐ相続人の名義に変更する手続きのことをいいます。

ひとくちに相続登記といっても、さまざまなパターン(遺言による相続など)があるのですが、この記事ではシンプルなパターンを前提として相続登記の進め方をご紹介していきます。

モデルケース

不動産を所有していたAさんが亡くなった。

Aさんには、Bさん・Cさん・Dさんの3人の相続人がいた(戸籍調査による相続人の確定)。

不動産は、沼津市に土地3筆、建物1棟があることが確認できた(不動産の調査)。

それらの土地・建物について、3人の相続人は、Bさんに名義を引き継いでほしいと思っている。

(2)相続登記の流れ

まず、はじめに「相続登記の全体の流れ」をチェックしておきましょう。

  1. 戸籍集めによる相続人の確定
  2. 相続登記をすべき不動産の調査
  3. 相続人同士で不動産を取得する人を決定(遺産分割協議)
  4. 相続登記を法務局に申請(必要書類とともに)

この4つのステップに分解して、相続登記の進め方を確認していきます。

(3)相続登記についての関連記事

このあとでは、相続登記のおける「遺産分割協議」について、ご紹介していきます。

その他のステップについて知りたいという方は、つぎのリンクから各手続きの詳細をご覧ください。

「相続登記の進め方【2:相続人の確定】」へのリンク

「相続登記の進め方【3:不動産の確認】」へのリンク

「相続登記の進め方【5:法務局への申請】」へのリンク

「相続登記の進め方【6:不動産以外の相続手続き】」へのリンク

「相続登記の進め方【1:はじめに(相続手続きの期限など)】」へのリンク

2.遺産分割協議で不動産の取得者を決める!

(1)誰が不動産を相続するか決める

亡くなられた方の相続人が複数人いる場合には、相続人全員の話し合いによって、誰が不動産を取得するかを決める必要があります。

この話し合いのことを遺産分割協議といいます。

分割に際しては、法律上で定められた相続分に縛られる必要はなく、たとえば次のような分け方も、相続人全員が合意すればokです。

  • 誰か1人の相続人が、相続した不動産の全てを取得する。
    (冒頭のモデルケースでいえば、相続人Bさんが、不動産全てを承継する。)
  • 3人いる相続人のうちの2人が、均等な割合で不動産を相続する。
    (冒頭のモデルケースでいえば、相続人C・Dが、2分の1ずつで不動産を共有する。)

(2)不動産以外の相続財産についても決める

この記事は、相続登記に関するものなので、不動産を中心に話を進めていますが、相続される財産は不動産だけではありません。

預貯金や投資信託・上場株式等の金融資産もふくめた、さまざまな財産が遺産分割協議の対象となります。

そのため、遺産分割協議を行う際には、相続について話し合うべき遺産が何であるのかを、あらかじめ調査し、漏れなく協議をすることが大切です。

3.相続登記のための遺産分割協議の進め方

(1)相続人全員で協議すること

遺産分割協議を行う際には、相続人全員で話し合いを行う必要があります。

相続人が誰であるかは、戸籍の収集によって確定させるのが原則です。

相続人全員が参加していない場合には、遺産分割協議のやり直しとなります。
不参加であった相続人も含めて、あらためて全員の合意が必要となります。

つぎのようなケースでは、遺産分割協議の進め方を考える必要があります。
(詳細は、リンク先の記事をご覧ください。)

【参照記事:相続人に判断能力が十分でない方が含まれる場合の遺産分割協議】

【参照記事:相続人に未成年者が含まれる場合の遺産分割協議】

【参照記事:相続人に行方不明者が含まれる場合の遺産分割協議】

(2)相続対象となる財産を明確にすること

不動産であるなら、名寄帳や固定資産税納税通知書などを確認し、対象不動産をリストアップします。

不動産の調査方法については、「相続登記の進め方【3:不動産の確認】」でご紹介しています。

不動産以外の財産についても、たとえば預貯金ならば、通帳や残高証明書により金融機関・取扱支店・預金種別を確認しておくと良いでしょう。

しっかりと調査・準備をすることは、相続の対象となった財産の漏れを防ぐとともに、このあと登場する「遺産分割協議書」を作成する段階において、土地などの相続財産を遺産分割協議書に正確に記載する助けとなります。

(3)遺産分割協議書を正確に作成すること

遺産分割協議の結果は「遺産分割協議書」という書面にまとめていきます。

不動産であれば法務局、預貯金であれば金融機関に対して、「被相続人の遺産である〇〇については、相続人の〇〇が取得しました。」ということが正確に伝わる内容としなければなりません。

(4)相続人全員が実印で押印し印鑑証明書を添付すること

遺産分割協議書には、相続人全員が実印(住民登録をしている市町の役所に届出をした印鑑)で押印する必要があります。

そして、実印の印鑑証明書をあわせて提出することで、「遺産分割協議書に記載された内容で相続人全員が合意した。」ということを、法務局や金融機関に対して示すことができるのです。

4.相続登記や遺産分割協議書の作成は自分でできる?
  専門家に頼むなら誰に?

(1)相続登記・遺産分割協議書の作成は自分でできる

相続登記・遺産分割協議書の作成は自分ですることができます。

専門家に「依頼しなければならない」わけではありません。

インターネットで調べてみると、ご自身で相続登記をする方法や、遺産分割協議書の作成方法について、詳細に紹介したページを確認することができます。

(2)不正確な遺産分割協議書によるトラブル!

とはいえ、さきほど「3.相続登記のための遺産分割協議の進め方」でご紹介したように、遺産分割協議や遺産分割協議書の作成は、意外と難しいのです。

ちゃんとした遺産分割協議書を用意できないと、つぎのようなトラブルが発生してきます。

  • 相続した土地の1筆を遺産分割協議書に書き忘れてしまったことが、相続登記の申請をしたあとで発覚した。
    遺産分割協議書を修正し、相続人全員からハンコをもらい、もう一度、相続登記の申請をした。

(3)相続登記の専門家は司法書士(遺産分割協議書の作成も一緒に依頼)

司法書士は、相続登記の専門家です。

そして、相続登記を申請する際に添付する「遺産分割協議書」の作成にも対応しています。

「相続登記のために正確な遺産分割協議書を作成したい。」「遺産分割協議書の修正のため、なんども相続人にハンコをもらいたくない!」という場合には、ぜひ相続登記の専門家である司法書士をご活用ください。

(4)弁護士に依頼すべきケース

とはいうものの、司法書士では対応できない相続登記(正確には相続手続き)もあります。

  • 相続人の意見が一致せず、遺産分割協議をまとめることができない。
    私の代理人として、裁判手続きで、遺産分割の手続きを進めて欲しい!
  • 相手方となる相続人とは、事情があって直接話しをしたくない。
    私の代理人として、他の相続人と遺産分割に関する交渉をしてほしい。

こうしたことは「弁護士」でなければ取り扱えない業務となってきます。

交渉・仲介・代理を希望する場合には、最初から弁護士さんに依頼をしましょう。

5.相続登記を任せるなら司法書士に!

(1)沼津や三島などの沼津近隣の方なら

ここまでの記事をご覧になり「相続登記について相談したい」と思われたのであれば、ぜひ、お近くの司法書士に声をかけてください。

沼津や三島など、沼津市近隣にお住まいの方で、そうした司法書士がいないということであれば、当事務所(沼津の司法書士貝原事務所)も候補にいれていただければと思います。

(2)身近な司法書士の探し方

「身近な司法書士の探し方を知りたい」「沼津に住んでいるが、いろんな司法書士も知りたい。」ということであれば、つぎのサイトで司法書士をさがすことができます。

静岡県司法書士会の「司法書士検索」ページ

「都府県名+司法書士会」で検索すると、地元の司法書士会のページを見つけることができます。(北海道は、札幌・函館・旭川・釧路の4つ)

日本司法書士連合会の「司法書士検索」ページ

6.沼津の司法書士貝原事務所が紹介する「相続登記の進め方」

(1)「相続登記の進め方」をシリーズでご紹介します

「遺産分割協議」「遺産分割協議書」という言葉は、相続手続きを行ったことがない方でも、目にしたり、耳にしたりする機会があるのではないかと思います。

とはいえ、具体的に「遺産分割協議をどのように進めれば良いのか」「遺産分割協議書をどのように作成すれば良いのか」、いざ相続の当事者となると迷うことが多いのではないでしょうか?

この記事では、「相続登記の進め方」ということで、遺産分割協議に関する基本的なことを確認してきました。

相続登記の進め方の全体については、ぜひ下記のシリーズをご覧ください。

(2)相続登記の進め方(沼津の司法書士が解説!)

つぎの記事⇒〇相続登記の進め方【5:法務局への申請】

相続登記の進め方【6:不動産以外の相続手続き】

相続登記の進め方【1:はじめに】

相続登記の進め方【2:相続人の確定】

相続登記の進め方【3:不動産の確認】

この記事⇒〇相続登記の進め方【4:遺産分割協議】

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