相続登記(先祖名義の土地があったら)

相続登記(先祖名義の土地があったら)

相続・遺言

1.先祖名義になっていることを発見!

先祖伝来の土地に住んでいる方の中に、土地の名義が曾祖父や祖父のままという方がいらっしゃいます。本来は、相続が発生した際に相続登記をすべきなのですが、相続登記は義務ではないために、相続登記未了で現在に至る方が少なくないのです(相続登記の義務化については、令和3年2月現在、法改正が検討されています。)。
以前から把握していたが対応を先延ばししていたケース、父母の相続があって名義変更(相続登記)を行う際に発見されるケース、敷地上の建物を新築する際に発見されるケースが多いです。

2.相続人は誰?

曾祖父や祖父から不動産の名義を変更する際には、相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。だれが、遺産分割協議を行うべき相続人かは順番に考えていく必要があります。
次の事例をもとにみていきましょう。

【事例】

Aさんの所有する土地の一部は、Aさんの曾祖父の名義となっていた。この点は、Aさんの亡きお父様からも言われていたことであったが、きっかけがなく放置したままにしていた。
最近、ニュースで「所在不明土地」とか「相続未登記」といった問題が生じているのを知り、まさに自分の土地の話だと思うとともに、子供に負担を負わせたくないということで、弊所に相続登記を依頼することに。

上記の事例では、曾祖父の現在の相続人同士で、遺産分割協議をまとめ、土地の名義変更をする必要があります。「現在の」としているのは、昔は相続人であったけれど、現時点では亡くなっており、相続権が引き継がれている人がいるからです。このように、当時の相続人が死亡し、さらに相続が発生しているケースを「数次相続」といいます。
順番に見ていきます。
※なお、通常の事案では、旧民法(戦前の法律)が関係してくることが多いのですが、説明の都合上、現行民法をベースとしています。

(1)曾祖父が死亡

この時点で、誰が相続人であったかを確認します。このケースでは、8人の子供が相続人となっていました(昔は、兄弟が多かったので8人というのは、それほど珍しくはありません。)。

(2)相続人が更に死亡(2次相続の発生)

8名の相続人の全員が、Aさんが相談に来られた時点で、すでに亡くなっていました。そのため、相続権が、8名それぞれの相続人(配偶者や子供)に枝分かれしていきました。この時点で、関係する相続人は、35名となりました。

(3)さらに相続が発生(3次相続の発生)

2次相続の相続人のうち、6名の方が亡くなっていました。これらの方々についても、相続が発生します。
結論として、相談時点での相続人の人数は48人となっていました。ちなみにAさんは3次相続による相続人となっていました(曾祖父→祖父→父→Aさん)。
事案によって、相続人の人数はまちまちですが、ほとんどのケースが10名以上、多い場合には100名近くになる事案もあります。
数次相続においては、ネズミ算式に相続人が増加していくのです。

3.遺産分割協議あるいは遺産分割調停

(1)遺産分割協議が可能か?

上記の事例だと、曾祖父名義の土地をAさん名義に変更するためには、なんと相続人48名の合意(遺産分割協議)が必要となるのです。
親族同士の繋がりが密であると、意外とすんなりいくこともあるのですが、最近では親族同士の交流がないケースも多く、当事者の負担は非常に大きくなりますAさんのケースでも、30人程度とは連絡がすぐについて、同意がもらえたのですが、連絡がつかなかったり、話合いに応じてもらえなかったりするかたが十数名いらっしゃいました。

(2)遺産分割審判の利用

相続人同士での話合いがまとまらない場合には、遺産分割を裁判手続きでおこなう方法を選択することになります。これが、遺産分割調停です。
なお、遺産分割調停は、ご本人(事例でいうところのAさん)のみで手続きを進めることが可能ですが、弊所ではあまりお勧めしておりません。代理人(弁護士)をたてて、任せるところは任せるほうが、当事者の負担も少なく、また望ましい結論に到達できると思います。
もちろん、費用負担の問題、不動産の評価額、その他の事情等を考慮して、代理人をたてずに対応する方もいらっしゃいます。しかしながら、裁判に携わる負担や時間など、慎重な検討が必要です。

4.相続登記はお早めに

以上のように、数次相続が発生しているケースでは、相続による名義変更の手続きは非常に複雑なります。手続きを進めたものの、相手方に意思能力が無いなどの理由で、手続きがとん挫することもあります。
「相続登記はお早めに」というのは、このように相続関係が複雑化してしまう前に、手続きを完了させるべきということも理由の1つです。
上記の事例では、最後に登記されてから70年ほど登記されていない状況を想定しますが、10年ほどの相続未登記案件でも、親族関係によっては似たような状況になりえます。

以上のように「相続登記はお早めに」というのは、時間経過による相続関係の変化を防止する意味でも重要です。
すでに数次相続が発生しているなど、手続きに困った際には、是非、お近くの司法書士をご活用ください。