株式会社設立の流れ

株式会社設立の流れ

2020年12月29日

当事務所に、株式会社設立の依頼をいただいた場合の、おおまかな手続きの流れをご案内します。

初回打合せ(骨格となる事項の確認)

(1)設立予定日の確認

「会社設立の日」=「法務局への登記申請の日」となります。

そのため、法務局が休みの日は「会社設立日」とはできません。
 ( 不可の例 12月31日や1月1日 土曜日や日曜日 祝日 )

設立にあたっては、法務的な事柄だけでなく税務的な事柄も検討する必要があるため、1カ月~1カ月半くらいのスケジュールをみておくと余裕をもって対応できるかと思います。

また、会社代表印の作成にこだわると、更に時間がかかる要因となりますので、ご注意ください。

【参照記事:株式会社設立のスケジュールについて】

(2)会社基本事項の確認

商号、事業目的、出資者、役員、事業年度などを決定します。
とくに、事業目的、役員、事業目的の決定に時間がかかることが多いです。

役員・事業年度については、主として税務上の観点から、
事業目的については、後述するように検討事項が多いため、時間がかかるようです。

(3)類似商号調査

設立時の商号(すなわち会社名称)については、会社法上、「同一本店所在地に同一の商号の会社を設立すること」が禁止されているのみです。
そのため、たとえば近所の会社と全く同じ商号を利用して会社を設立することも、不可能というわけではありません。

ただし、会社法(「不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない」)や不正競争防止法などにおいて、類似商号利用の差し止めや損害賠償請求が認められています。
不要なトラブルを避けるため、類似商号の有無を確認する必要性があります。

【参照記事:会社設立時の商号について】

(4)事業目的調査

「事業目的」とは、その会社が行うことのできる事業を列挙するものです。

そういうと、何でもかんでも網羅的に定めなければいけないのかと思われるかもしれませんが、事業目的は広く緩く解釈されることとされており、法的効力という意味では、それほど厳密に考える必要はありません。

しかしながら、取引先・金融機関などが会社の登記を確認する際に、事業目的は「はじめましての自己紹介」と同じ役割を果たします。
雑多に事業が羅列されていたり、主たる業務が下のほうに記述されているなど、不信感を抱かれるような記述は避けるべきでしょう。

また、余りにも特殊な単語で「明確性」がない場合には、登記申請の際に修正を求められることもあります。
最近は、とくにインターネット関係で次々と新しい単語が登場してくるため、どこまで「明確性」を求めるのか難しいところもあり苦労しますが、極力、お客様の希望に沿う形で、言葉を使うように心がけています。

さらに重要なのは、事業遂行にあたり、建設業や旅行業などの許認可の取得を予定されている場合です。
許認可の取得に際して、許可要件として、事業目的中に一定の文言が記載されていることを要求されるケースもありますので、設立時にそれらの指定文言を使うように留意しています。

一例として、つぎのようなものがあります。

  • 建設業 = 「土木工事の請負、施工」など
  • 宅建業 = 「宅地建物取引業」
  • 派遣業 = 「労働者派遣事業」

参照記事:設立する会社の目的について】

2回目の打合せ(定款認証)

(1)定款確定・定款認証委任

定款の内容を確定させます。
定款認証後の定款変更には、別途、手数料がかかります。
また、設立登記後に、登記事項を変更する場合にも、あらたに登録免許税がかかってきます。
慎重に検討して、定款内容を確定させる必要があります。

(2)定款認証

弊所がお客様の代理人として、公証役場にて認証手続きを行います。
お客様に公証役場に行っていただく必要はありません。

【参照記事:会社設立時の定款認証について】

3回目の打合せ(出資金の払込みと登記申請書類への押印)

(1)発起人による決定

定款認証後、発起人による決定が必要となる事項(本店所在場所など)が残っている場合には、これを決定します。

(2)出資の履行

定款認証後、出資金の払い込みを行っていただきます。
原則として、発起人代表者名義の銀行口座に、出資金相当額の入金を行ってもらいます。
入金された通帳のコピーを出資金払込証明書と合綴(がってつ)します。

【参照記事:株式会社設立時の資本金について】

(3)登記関係書類への押印

登記委任状や取締役就任承諾書などに押印いただき、あとは弊所より会社設立登記申請を行います。

現在は、会社設立登記については、ファストトラックといって他の登記手続きより優先して処理されることとなっています。

従って、申請から3営業日以内に登記を完了するのが原則です(法務局や申請時期によって、登記完了までの時間は様々ですが、通常の登記手続きでは1週間から2週間ほど完了まで時間がかかります。)。

(さいごに)完了書類の返却

(1)登記事項証明書や印鑑証明書の返却

登記完了後、法人登記事項証明書(いわゆる謄本)や印鑑証明書とともに、完了書類をお返ししています。
これをもって設立登記の手続きは完了です。

(2)登記完了後の手続き(銀行口座開設など)

この後、お客様にて(あるいは税理士さんにバトンパスして)、会社の銀行口座の開設や、税務署への開業届など、会社設立に伴うその他の手続きを行っていくこととなります。

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